ja日本語enEnglish

トラブル発生【13回】

唖然

友人の旦那さんより「投資したい」とのビジネスオファーを頂き、パートナーシップを組んで起業することとなったのですが、そう簡単には事は進みませんでした。オフィスの場所を決めるために不動産のエージェントに色々と物件を見せてもらい、理想の物件があったのでオファーを入れるという段階になったのですが、そこで彼が契約書を見ながら次々と線を引いて消していったのです。「この項目は気に入らない」「これはこう修正するべき」‥‥そして最後に「この家賃の額は気に入らない。最低でもこの額に下げろ」と言い、エージェントの方は真っ青になっていました。私が見てもあまりにも強引な要求でした。エージェントは「こんな条件はきっと通らないと思うよ」と半ば呆れ気味で言っていました。そしてその条件をビルのオーナーにエージェントが伝えたところ、予想通り「そんな条件はもってのほかだ、受け入れる訳がないだろう」という対応でした。

その対応を聞いて彼は諦めるのかと思いきや、「ああそうかい、それじゃあ君にお願いするのは辞めるよ」とエージェントに言い放ち、私に向かって「まあ2、3日様子をみよう。どうせ他に借り手なんかいないのだから、僕の条件を飲んでくれるよ」と自信満々で言い、そしてもう一言、「ビジネスはこうやってやるものだ」と私に言ったのでした。私は彼のその態度に驚き、不安になりました。

結局この取引は私が思った通り、ビルのオーナーを怒らせて終わりになりました。不動産のエージェント曰く、立地条件のいい物件だったのでその後すぐに他の借り手が見つかったそうです。何事もなかったかのように「他の物件を探さないと」と彼は私に言いましたが、何件も不動産を見てまわってやっと理想の物件が見つかったと思っていたので、夢が膨らんでいた私はショックでした。

穴があったら入りたい気持ち

不動産のゴタゴタがあった後、今度は広告について彼と話し合いをしました。日系の新聞に広告を出すということになり、編集長の方とEmailでやり取りをさせて頂いていたのですが、パートナーの彼は「編集長を僕のオフィスに呼べ」と言って聞きませんでした。彼のオフィスは郊外にあってダウンタウンからは遠く、「お忙しい方だからお電話かEmailで取引をするのはどうでしょう」という私の意見は全く聞かず「いや、僕がお金を払うのだから来てもらって当然」という態度を崩しませんでした。こちらの我侭にも関わらず、編集長は快諾して下さり、パートナーのオフィスでミーティングすることとなりました。

ミーティングは私が予感した通り、悪夢でした。編集長が持参して下さった新聞を実際に見て、「このページのこの場所に広告を載せろ」「この広告が隣じゃ嫌だ」「他の広告を他のページに移動させろ」など、理不尽な注文ばかりを要求し、挙句の果てには「値段は3分の1にしろ」と言い出し、私は本当に穴があったら入りたい程恥ずかしい気持ちでした。ミーティングが終わって編集長をお見送りさせて頂いた際に「沢山無理を申し上げて本当に申し訳ございませんでした。」と私が言うと、「いえいえとんでもない」とおっしゃって下さいましたが、私が彼の立場でしたら厄介な広告主だなと思っていたと思います。

決定的なこと

次第に彼とのビジネススタイルの違いが見えてきた頃、決定的なことがありました。それは彼が自分のビジネスの関係で国外出張に出ており、帰国後に私と電話で話していた時のことでした。書類のことで気に入らないことがあり、彼が急に電話越しに私に向かって怒鳴りだしたのです。ヒステリックになり、あまりにも大きな声を出して叫ぶので、驚いてしまいました。「話し合いにならないので一旦電話を切ります。」と言って電話を切った後暫く考えたのですが、彼の奥さん(私の友人)が以前に言ったことを思い出しました。それは「私の夫は会社ですぐに怒鳴ると有名なの。もしあなたにも怒鳴ったら気にしないで」ということでした。この件が決定的となり、私は彼とのビジネスパートナーを組むことについてもう一度考え直し始めました。

次回は苦悩の末に出した結論について振り返ります。