ギリギリのケース(後編)【30回】

by | Aug 1, 2014 | 連載記事 | 0 comments

先月はビザの失効期限が迫ってから弊社へお問い合わせを下さるお客様のケース、いわゆる時間に余裕がない「ギリギリのケース」についてお話しました。今月はビザ申請ではなく、移民申請がギリギリのケースについてお話します。

Post-graduation Work Permit保持者

移民申請に関する「ギリギリのケース」で一番多く見られるのがPost-graduation Work Permit (“PGWP”) を保持していらっしゃるお客様です。PGWPは就労ビザの一種で、カナダで卒業したCollegeやUniversityのプログラムの期間によって1年間、或いは3年間の期間が与えられます。この期間中にスキルを要する職種で1年間以上フルタイム、或いはフルタイムと同等の時間数を就労することがCanadian Experience Class(”CEC”)での移民申請の条件の一つとなるため、ほぼ大多数のお客様が3年間のPGWP取得を目指して2年間以上のプログラムを選択されます。

学校を卒業し、PGWPを取得したと同時に「これから3年間も時間がある」ということに安心感を抱いてしまい、スキルを要さない職種(移民申請対象外)で最初の1、2年就労し、気が付くと既に残り1年を切りそうになっている・・・という方より沢山お問い合わせを頂きます。就職活動をしたがどうしてもスキルを要する職種で就職できず、とりあえず生活するためにはお金が必要なのでスキルを要さない職種で就労していた、まだまだ時間があると思っていたらあっという間にこんなに時間が経っていた、などがその代表的な理由のようです。

PGWPが失効する直前にCEC申請の就労条件を満たす方については、移民申請中も引き続き就労を続けることは(雇用主がPositive Labour Market OpinionをService Canadaより取得し、雇用主限定のWork Permitを取得する処置などが必要なため)現実には難しく、そのためCECを申請してからそのまま日本にご帰国され、CECの審査完了を日本で待っていらっしゃる方もいらっしゃいます。一方きちんと計画を立て、スキルを要する職種で1年間以上早めに就労されたお客様は無事CECで移民申請後、個人移民申請中の人達が申請できる特別な就労ビザである、Bridging Open Work Permitを取得して移民申請中もカナダ国内で就労されていらっしゃいます。

またご存知の通り、昨年10月末よりCECでの移民申請条件が一部改定となりました。申請人数に上限が設けられたことや、特定の職種については(たとえスキルを要する職種であっても)申請受け入れを停止すると発表されたため、多くのPGWP保持者がこの変更に悩まされています。従って現在CECでの移民申請は以前のように「申請したい時に申請できる」ということではなくなり、3年間のPGWP期間中にいかに就労期間の条件や言語条件を満たすか、またこれらを満たしたとしてCECの申請受け入れ人数が超えないうちに申請できるか、その両方を考えてプランニングする必要があります。

Sponsorship申請

家族移民の申請でも「ギリギリのケース」は見受けられます。「今週末でビジタービザが失効するのですが、明日結婚したら明後日移民申請できますか」というお問い合わせや、「ワーキングホリデーで12ヶ月滞在後、日本に1ヶ月間一時帰国してからカナダへフィアンセに会いに帰って来たところ、怪しまれて空港で2週間しかビザがもらえなかったのですがどうしたらいいですか」などのご相談がその例です。極端な例とお考えになられるかもしれませんが、年間こういった方が10組以上ご相談にいらっしゃいます。

手遅れにならぬよう

2回に渡り「ギリギリのケース」についてお話させて頂きました。この記事を読んでいらっしゃる方で「私もこの例に該当するかもしれない・・・」という方は直ちに弁護士、或いは政府公認移民コンサルタントにご相談下さい。ご相談されるのが早ければ早い程、私たちにとってもお客様にアドバイスがし易くなります。ビザ申請もそうですが、移民申請はご自身の人生に関わるとても大きな決断です。皆様にとって最も確実かつ安全な方法で移民申請ができますように心から願っております。