駐在の方に関する法律一部改定のお知らせ【32回】

by | Aug 1, 2014 | 連載記事 | 0 comments

2014年6月9日にIntra-Company Transferee Work Permit (“ICT”) に関する法律が一部改定となりました。カナダの日系企業に駐在員として今後出向されるご予定がある方々にとって、今後ICTを申請する前に今回の改訂内容をしっかりと理解して頂くことは必須と言えます。

今月号ではICTというビザの種類について、そして今回の改定内容につきまして説明させて頂きます。

ICTとは

その名の通り、企業内部での異動に関する就労ビザとお考え下さい。例えば日本(或いは他の国)に本社があり、その本社で就労している方がカナダ支社へ一定期間転勤となった場合、申請条件を満たしていればICTを取得してカナダ支社で就労することが可能です。通常、カナダで雇用主限定の就労ビザを取得するためには予め雇用主がService CanadaにLabour Market Opinion (“LMO”) を申請する必要がありますが、ICTはLMO免除対象の就労ビザですのでこのステップは一切不要です。

ICTには二つのカテゴリーがございます。一つは管理職、もう一つは専門職のカテゴリーです。今回の改定は専門職のカテゴリーに関する以下の内容となります。

カナダの法律における「専門知職」の定義

専門知識と言っても、単純に専門分野の知識を持っているということだけではございません。今回の法律改定で定められた「専門知識の定義」を全て満たして初めて、その分野での専門知識を持っていると認められます。以下具体的な定義の内容となります。

会社特有の技術・知識

商品やサービスに関する、その会社特有の知識や技術を指す。他社が同じサービス・商品を再現できぬよう、ある程度非公開の技術・知識であるという意味合いが含まれる。

会社特有の高度な技術・知識

  • 一般に知られていない、現地会社の商品やサービスに関する知識および国際市場での応用

或いは

  • 会社の事業(生産、研究、設備、技術、経営等)の工程や手順に関する高度な技術・知識

高度な専門技術・知識

過去5年間において、所属会社で得た勤務経験を介して取得した専門技術・知識。また、これらの技術・知識を使って雇用主の生産性に大いに貢献していること。経験年数が長ければ長いほど、知識がより専門的である可能性が高いとされている。
つまり、カナダの移民局が考えている「専門知識」とは「独特かつ稀有」なものであり、これらの知識は会社全体では数人或いは数割しか有していないものとされています。従って雇用主はICTを申請する方が高度な技術を有しているだけではなく、カナダ支社の事業に必要不可欠の人材であり、その知識なしでは業務に著しい支障をきたすということを移民局に証明することが必須となります。

ICT-専門職カテゴリーの最低賃金を設定

専門職カテゴリーでICTを申請する場合、雇用主はその職種の一般的な賃金(prevailing wage)以上を支払うことが条件となりました。このような高度な専門知識を持ち合わせている社員の給与は平均よりも上回る場合が多く、そのため「経験、ならびに知識相応の」給与を支払っていることを証明しなければなりません。

今後の注意点

これまでICTの専門職カテゴリーで就労ビザを申請し、日本本社よりカナダ支社へ駐在員を派遣してきた日系企業の方々は今回の改定内容をしっかりと理解し、今後の申請に向けた対策を十分に考慮する必要がございます。また申請時に提出する書類等につきましても(上記様々な条件を審査官に証明する必要があるため)以前とは若干異なりますのでご注意下さい。