起業への道【12回】

by | Jul 30, 2014 | 連載記事 | 0 comments

夢のようなお誘い

公認移民コンサルタントの国家試験に合格し、さて本腰を入れて起業について準備しようと思っていた矢先にとても仲の良い友人から連絡があり、ビジネスの話がしたいと言われました。この友人は私と同じくSenecaでImmigration Practitioner Programを受講し、国家試験も一緒に受験した友人で、お互いに励ましあってきた仲でした。その友人の誘いだったので、もしかして一緒にパートナーシップを組んでConsulting Firmを設立しようと言われるのかなと思いながら指定の場所に行くと、彼女の旦那さんがいました。旦那さんは中小企業のオーナーとしてカナダでとても成功していらっしゃる方で、Senecaに通学している間に何度かお会いしたことがありましたが、お話するのは初めてでした。
試験合格おめでとうという彼の言葉の後、突然「実は是非綾とビジネスがしたい」と言われ、驚いてしまいました。その時まず私が疑問に思ったのは、奥さん(私の友人)が公認移民コンサルタントとしての資格を得たにも関わらず、なぜ私とビジネスをしたいのか?ということでした。彼曰く、奥さんはカナダ政府で働いているので、フルタイムで彼のために働くことができない。それなら自分は信用できる人で公認移民コンサルタントの資格を持っている人とパートナーシップを結んでConsulting Firm を始めたいという話でした。起業に必要な費用はすべて自分が持つ、自分はあくまでも投資家としてビジネスをしたいので、綾の好きなようにビジネスをしてくれて構わない、という夢のようなお話でした。
利益の分与についてももちろん話し合いをしました。これについてはあまりいいオファーではありませんでしたが、投資して頂くのだから贅沢を言ってはいけないと思っていました。私にとってはお金のことよりも、早くPractice したい!という気持ちが強かったので、その部分を重要視はしていませんでした。

決断の時

友人の旦那さんからオファーを頂いた際、あまりにも大きな決断だったので少し考える時間を下さいとお返事しました。そして周りの人にこのことについて意見を聞いてみることにしました。「すごくいい話だね!いいと思うよ」という人と、「何か裏がありそうじゃない?ちゃんと利益や権利はもらえるの?」という人と、賛否両論でした。私の知識や今までの経験が彼にいいように利用されるのではないか、と心配してくれた友人もいました。皆真剣に私のことを考えてくれてとても嬉しかったです。
私はというと、友人の旦那さんに限って私を利用することはないと思っていました。ビジネスの仕組みや起業について何もしらなかった私にとって、既にビジネスで成功している彼のバックアップはとても心強く感じました。また必要経費を出して下さって、私のやりたいようにさせてくれるという条件もその当時の私にとっては魅力的でした。自分一人で起業したいという気持ちももちろんありましたが、何から何まで分からないことを一人でやるということに対する恐怖心があったのも事実です。結局1週間程考えた結果、彼のオファーを受けることにしました。

一緒に仕事をし始めると‥‥

一緒にビジネスをやると決めて一番最初に彼と話し合ったのはオフィスの立地でした。彼は「お金には糸目はつけない、便利なロケーションで探そう、アシスタントも雇おう」など、夢のようなことばかり言ってくれて「私はなんてラッキーなのだろう」と思っていました。彼の不動産のエージェントにいくつかオフィスビルを見せてもらいましたが、そのどれもが留学生がよく利用する駅の目の前だったり、とても内装の綺麗なオフィスだったりして私にとっては十分すぎるくらいの環境でした。「こんなところにオフィスを持てるなんて、夢みたい」と何度も思いました。そしていくつか物件を見てみて自分が心に描いていたオフィスと一致するような素敵な物件があり、幸い彼も同意してくれたのでビルのオーナーと不動産エージェントが賃貸の値段や、条件等の交渉を開始しました。その過程で信じられないことが起きたのです。

次回は起業までのトラブルについて振り返ります。