Express Entry 2015年3月以降動向【38回】

by | May 27, 2015 | 連載記事 | 0 comments

先月号(4月号)にてExpress Entryの動向についてお話致しました。4月号の記事を3月中旬に入稿させて頂いた後、またもや大切な動きがありましたので詳細を説明させて頂きます。

移民申請のための招待状

個人移民申請を目指していらっしゃる方であれば既にご存知かと思いますが、Express Entryにプロフィールを登録し、職歴・学歴・年齢・言語のレベルなど様々な項目を元に点数化し、その点数に応じて Citizenship and Immigration Canada (“CIC”) から Invitation to Apply (“ITA”) と呼ばれる招待状を受領して初めて、移民申請をすることが可能となります。従ってこのITAを受領しないことには(申請条件を満たしていても)移民申請はできません。

ITAを発行するための選考基準はCICの判断に委ねられています。選考は毎回決まった基準では行われず、CICは回を重ねる毎に選考基準を少しずつ変更している傾向が見られます。従って「過去の選考基準では恐らくITAは発行されないであろう」人達も、今後ITAを受領することは充分にあり得ると言えます。

4月中旬時点までの間に行われた選考は合計8 回です。それぞれの日付、Express Entry必要最低点、ITA発行数をご案内します。
1回目: 1月31日、886点、779件
2回目: 2月7日、818点、779件
3回目: 2月20日、808点、849件
4回目: 2月27日、735点、1187件
5回目: 3月20日、481点、1620件
6回目: 3月27日、453点、1637件
7回目: 4月10日、469点、925件
8回目: 4月18日、453点、715件

この結果をご覧になって頂ければお分かりになるかと思いますが、5回目以降必要最低点がぐっと低くなっています。これは(学歴・職歴・年齢・言語レベルなどによっては)明らかにArranged Employment、つまりPermanent Job Offer(ESDCより発行されるLMIA)で取得できる600点分が無くても届く範囲の点数です。

CICの発表によると、2015年は合計で15回から25回ほどの選考が行われる予定とのことです。また2015年4月時点でおよそ22,000件に及ぶExpress Entryのプロフィールが既に登録されているとの統計が出ています。

Express Entry選考に関する様々な意見

本年1月1日に発足したExpress Entryですが、ITA発行の選考基準が明白になっておらず、最初の数回の選考は「様子見」としていた方も沢山いらっしゃったかと思います。弁護士・政府公認移民コンサルタントも同じくITA選考の動向を見守っていました。それだけExpress Entryに関しては不可解なことが多かったということになります。CICが選考を重ねるにつれて、800点以上という選考基準があまりにも高く、「LMIA免除のWork Permitで就労している人達にとって不利である」という意見や、「LMIA取得を必須にすることはあまりにも個人移民申請にとって敷居が高過ぎるのではないか」という意見が出るようになりました。

私も政府公認移民コンサルタントのセミナーに頻繁に出席していますが、年配の(以前政府で移民審査官として活躍されていらっしゃった)コンサルタントの方でさえ、今回のExpress Entryの選考基準に関しては「無理がある」とおっしゃっていました。「このままの基準で選考を続けていれば、いつかCICはITAを発行できる候補者がなくなる」と断言していました。その方がおっしゃっていた通り、ITAの選考基準は5回目以降極端に低くなりました。

まだまだ厳しい現実

ただしITAの選考基準が5回目より低くなったとは言え、カナダで2年のCollegeプログラムを卒業し、1年フルタイムでスキルを要する職種で就労したとしても、実際にはExpress Entryの点数が300点台の方々は沢山いらっしゃいます。過去にカナダ国外での職歴が充分にある、英語の点数がとても高い、学歴が豊富など、Arranged Employment項目の600点がなくても他の項目で点数を稼ぐことができなければまだまだ移民申請のためのITAを受領することは難しいとお考え下さい。

またCICがこれから先もずっとこのまま400点台の基準で選考を続けるとは限りません。従って確実にITAを受領したいのであれば、やはりArranged Employmentの項目で600点を取得することが現時点での一番の個人移民申請への近道と言えます。