家族移民申請【第42回】

by | Dec 21, 2015 | 連載記事 | 0 comments

昨年も年間を通して沢山のお客様より家族移民申請のご相談を承りました。その大多数は両親・祖父母の呼び寄せではなく、配偶者・お子様の移民申請についてのご相談でした。今回はこれらの中でも特に配偶者の移民申請に関るよくあるご質問についてお話致します。

収入?

コンサルテーションの際、お客様が必ずと言っていいほど私に聞かれることの一つに、「スポンサーになるための最低年収はいくら位ですか」という質問があります。自分は妻・コモンローパートナーのスポンサーになりたいが、政府が定める最低収入額に達しているかどうか不安だという方は多いようです。

このご質問に対して私が「ご心配なく、最低収入額というものは定められておりません」と返答すると、皆様幾分ほっとされるようです。カナダでは配偶者の移民のスポンサーになりたい場合、年間○○ドル以上収入がなければいけませんという法律はございません。つまり極端に言えば、学生などの無収入の方でも配偶者のスポンサーになることは可能です。リストラなどが原因で申請時に失業保険(Employment Insurance)を政府から受領している方でもスポンサーになることは問題ございません。但し身体障害以外の理由で政府から金銭的な援助を受けている方や、免責未済破産者はスポンサーになることはできません。

法律上ではスポンサーの最低収入額は定められていませんが、注意する点としていくつか挙げられます。スポンサーが配偶者の移民申請時に署名する書類の一つに、Undertakingというものがあります。これはカナダ移民局とスポンサーとの間での取り決めで、スポンサーがカナダ移民局に対して「配偶者が移民権を取得してから3年間は、私が責任を持って日常最低限の金銭的援助をします」という内容に署名することを指します。スポンサーが無収入である場合、このUndertakingの条件をどう満たすのかということを説明・証明することも申請における大切な要素の一つとなります。

配偶者のスポンサーになりたいという方で、何年もカナダの税務局にIncome Taxを報告・納税していない方が時々いらっしゃいます。カナダ国外で何年も暮らしていたなど特殊な例を除けば、カナダの納税局が発行する書類を申請時に添付することは必須となります。従ってIncome Taxをすることもスポンサーになるためには重要なことであるとお考え下さい。

一概にもそうとは言えません

申請先に関するご質問ですが、大多数の方が「国外申請の方がいい」と思われているようです。国内申請の審査期間は国外申請に比べると大幅に遅れが出ていますが、国内申請が一概にも国外申請に劣るとは限りません。国内申請は(国外申請では申請することができない)Open Work Permitを同時申請することができ、また申請日から4ヶ月以内に2年間分発行されているということもあり実は人気です。フルタイムの仕事が見つかれば、Open Work Permit保持中にOHIPを取得することも可能です。既にWork Permitで就労中の方で失効日が迫っている方が「移民申請中にWork Permitが失効してしまうとその日付で就労ができなくなる。それでは困る。」という理由で国内申請を選ばれるケースも見受けられます。

これら以外にも国内申請・国外申請共にメリット、デメリットはございます。インターネット等の情報に惑わされず、現在ご自身がどのようなビザでカナダに滞在していらっしゃるか等、ご自身の状況をご考慮された上で決定されることを強くお勧め致します。

法的義務

家族移民申請をするにあたり、法的義務はお二人共理解していらっしゃいますか?後々「そんなこと知らなかった」とならないためにも、申請前にしっかりとお二人の義務を理解することも大事です。申請書類を準備することももちろん大切ですが、「何を申請しているのか」「これからどのようなことに注意しなければならないのか」ということをきちんと理解してから申請するということも大事です。言語の違いなどの理由でパートナーと法的義務について話合うことが難しい場合には、日・英堪能な弁護士或いは政府公認移民コンサルタントにお二人でご相談されることをお勧め致します。