No. 64 – PRというステータスについて

by | Aug 3, 2018 | 連載記事 | 0 comments

カナダのPermanent Resident Card (“PRカード”) は5年毎に失効しますが、Permanent Resident Status (“PR”) は失効しないということをご存知ですか?カナダ国外に何十年滞在しようとも、PRであることには変わりはないのです。但し、PRとしてカナダに再入国するためには、国境で有効なPRカードを提示しなければなりません。今月はPRというステータスについて絶対に知っておかなければならないことについてお話します。

■PRカード
カナダ国外に旅行し、再度カナダにPRとして入国するには、有効なPRカードを保持していなければなりません。このPRカードはカナダ国内でのみ、更新可能です。更新の際に直近5年間の間に最低でも合計730日はカナダに滞在していたということを証明する必要があります。これをResidency Obligationと言います。この730日という期間には例外が幾つかありますが、ここでは基本的な情報をしっかりと説明させて頂く目的の為、省略致します。

PRカードは「カナダ国内からのみ」更新申請が可能であるということがとても大事な要素になります。PRカード失効日までにカナダへ再入国される予定であるのならば問題ないのですが、PRカードが失効してからカナダを出国してしまったり、カナダ出国後にPRカードが失効してしまうと、(有効なPRカードを保持していないため)カナダへ再入国をすることができません。

■勘違いをしないこと
これは沢山の人が勘違いをしているようなのですが、PRカード=PRステータスではありません。従ってPRカードが失効したからと言って、PRのステータスが失効するということではないのです。例えば、PRカードの失効日を過ぎてからずっとカナダ国外へ出国せず、何年もカナダで暮らしている人は違法滞在ではなく、PRであり続けるということです。国外へ出国していなければResidency Obligationを絶対に満たしていることになるので、出国する必要が出てきた時にPRカードの更新申請をすれば良いとお考え下さい。

■カナダ国外で有効なPRカードを保持していない場合どうすればいいの?
このような状況の対応方法は2つあります。

1. 滞在先、或いは滞在先の国のPRやビザ申請を取り扱う他国のカナダ大使館にパスポートの原本やその他必要書類を送付してPermanent Resident Travel Document (“PRTD”) を申請し、発行されればカナダへ再入国が可能となります。但しPRTDを申請するためには、Residency Obligationを満たしているということを証明しなければなりません。無事PRTDが発行された後はカナダに再入国し、改めてカナダ国内においてPRカードの再申請を行う、というプロセスになります。

2. Residency Obligationを満たしていない、或いは諸事情によりResidency Obligationを満たせる予定がない場合、PR破棄申請(Applying to Voluntarily Renounce Your Permanent Resident Status)をしなければなりません。プロセス終了後、eTAを申請してビジターとしてカナダに入国することとなります。破棄手続きを行わずにeTAを申請した場合、Refusalとなりますのでご注意下さい。

■近年の動向
カナダのパスポート、或いはPRカードを持っていない旅行者はカナダへ渡航する前にeTAを申請することが義務付けられて以来、PR破棄手続きをする人が毎年急激に増加しています。国外で仕事を得て就労している人、家族の世話をしている人など、様々な理由でResidency Obligationを満たせない人がいること、また絶対にPRカードを見せなければカナダへ再入国できないということがその原因です。実際ご夫婦で日本からカナダへ帰国し、PRカードが失効していることに気付かなかった奥様だけ強制退去させられた、という例も耳にしています。現在はそのようなことがないよう、空港にて飛行機のチェックイン時にカナダに滞在できる権利を保持しているかということを厳しくチェックされるようです。

■しっかりと事前に更新すること
ビジネスなどで頻繁にカナダ国外へ出国する、或いは毎年日本へ里帰りする方などは失効日前に必ずPRカードの更新手続きを行って下さい。9ヶ月前から更新申請が可能です。またPRカード更新の際に必要な書類等は頻繁に変更となっているため、心配な方は移民弁護士・政府公認移民コンサルタントに代行申請の依頼をされることをお勧め致します。