No. 74 – 法律に則ってカナダで仕事をするということ

by | Aug 23, 2019 | 連載記事 | 0 comments

今月は、Global Newsに記載された記事の内容を元に、「カナダで合法的に就労することの大切さ」についてお話致します。

■留学生がカナダの法律で定められた就労可能時間の上限を無視して仕事をした結果

先日、Global Newsにてインド人の留学生が逮捕された事件についての記事が報道され、議論を巻き起こしています。これは2017年末にモントリオール・トロント間にてトラックを運転していたインド人がHighway 401にて警察官に職務質問をされ、その後の調べで「Study Permit保持者であり、学校のセメスター中であるにも関わらず、フルタイム(週あたり35時間から40時間)でトラックの運転手として就労していた」ことが雇用主の運転記録に残っていることが発覚し、今回の逮捕に繋がったということです。現在彼の弁護士がTemporary Resident Permitを申請中であるが、この申請結果がRefusalとなった場合、5月31日までにはインドに強制的に帰国させられるとの内容でした。

■法律上では

カナダの移民法(Immigration and Refugee Protection Regulations)のs.186(v)(iii)において、留学生の就労については以下の内容が定められています。

“Although they are permitted to engage in full-time work during a regularly scheduled break between academic sessions, they work no more than 20 hours per week during a regular academic session”

この文章での「they」は有効なStudy Permit保持者を意味します。つまりWork Permitを別途保持せずとも、学校のセメスター中は週に最大でも20時間までの就労が可能、学校がお休みの期間は20時間以上就労してもOKという内容になります。

Study Permit申請の際、「留学生の授業料+生活費」を支払うことができる十分な貯金があるかということを証明しなければなりません。これは最初の最低でも1年分の証明が求められるため、その後のカナダでの授業料や生活費の目処が立っていない状況でも申請することが可能です。

■留学生の主張

Global Newsのインタビューを受けたインド人の留学生は、「僕は何も悪いことをしていない。窃盗もしていないし、殺人も犯していない。授業料を稼ぐために働いていただけだ」と主張しています。また彼の兄弟もカナダに留学生として来ており、彼のアルバイト代で養っていたとのことです。インドにいる彼の両親は彼の最初のセメスターの授業料を負担するために金融機関からお金を借りているため金銭的なサポートはできず、彼が授業料を支払うための唯一の方法はカナダにおいて(勉強しながら)フルタイムで就労することだったと主張しています。逮捕された時はMississaugaのDiploma Programを修了する10日前だったと言われています。

■世論
この記事に対する大半のコメントは彼の主張に否定的なようです。

「法律は法律なのだから、従うべき」

「カナダで勉強・生活する金銭的に余裕がないのなら、自国で勉強すべき」

「就労時間数の上限もそうだし、授業料やある程度の生活費がどの程度必要となるか分かっていてカナダに来ているのだから、彼の自己責任」

「留学生がトラックの運転手になれるって?おかしくないか?責任の大きい仕事だし、資格も取らなくてはいけないのでから、カナダ人のみにすべき!」
中にはこんなコメントも。

「このストーリーは氷山の一角に過ぎない。アンダーで働いている留学生も沢山いるのだから、週に20時間以上働いている留学生も沢山いるはず」

「こういう留学生のせいで、カナダ人の職が奪われているってことに気が付かないのか?」

「フルタイムでトラックの運転手をしながらフルタイムで勉強していたってこと?寝不足状態でモントリオールからトロントまで運転するなんて、安全に問題があるに決まってる。早く捕まって良かった」

■大切なこと

ご自分のビザについてしっかりとルールを理解することがとても大切です。法律には一つ一つ意味があるのです。見つからなければいいや、という気持ちでルールを破ってしまう人も沢山いるようですが、そのことが原因で後々次のビザ申請・移民申請に響いたりすることも多々あります。カナダに滞在する上で、カナダの法律に従うことは最低限の条件と考えましょう。