No. 83 – 結婚と移民申請

by | Mar 1, 2020 | 連載記事 | 0 comments

「カナダ人(或いはPR保持者)と結婚することで移民申請が可能になる」そんな選択肢が頭をよぎったことがある人もいるかもしれません。今月、来月はいつもと違った、少しPersonalなお話をしたいと思います。(注:ご本人に承諾を得て記事を書かせて頂きました。)

 

■彼を助けなければと・・・

先日、お客様のAさんからメールがありました。「もうすぐ私の個人移民申請が完了するのは先日綾さんから連絡を頂いたので知っています。今日メールしたのは、家族移民申請についての相談です。実は以前からトロントで付き合っている人がいて、その人との結婚を考えています。私の移民申請が完了した後、私がスポンサーとなってその人の家族移民申請をすることは可能かどうか、オフィスで相談できませんか?」とのことでした。Aさんはカナダに留学生として海外(日本以外の国)からカナダに渡航し、Collegeのプログラムを終了し、Post-graduation Work Permitの期間中にカナダで就労経験を得て、母国での職歴と併せて個人移民申請をしている、頑張り屋さんです。最初に会った日から、実直で真面目な彼女の人柄に私も「若いのに将来のことをしっかり見据えていて偉いな」という印象を持ちました。その彼女から家族移民について相談の連絡が来たので、このメールを頂いた時は嬉しく思いました。

「おめでとうございます、ご結婚本当に良かったですね。ご相談の件、もちろん構いませんよ。それではお二人でオフィスに来て下さい。ゆっくりお話しましょう。ご予約日を調整しますので、お相手の方のフルネームをご教示下さい。」と返信すると、またすぐ返信がありました。

「彼の名前はBです。そうです、綾さんもよく知っている、Bさんです。」

この返答を読んで思わず「え?」と声に出してしまいました。そのBさんとは、私が昨年から幾度かコンサルテーションをさせて頂いている、Bさんでした。この二人が友人同士であるということは知っていましたが、まさかBさんがAさんの将来のお相手だとは思いませんでした。Bさんは予約時間を大幅に遅れて来社されたり、お願いしていた必要情報を私に提供しないままアドバイスを求めたり、以前就労されていた会社とは喧嘩別れになったので雇用証明書は取得できないと言われたり、色々と少し責任感の無い方という印象を受けました。それでもBさんの個人移民申請に向けて(難しいケースであるということは承知の上で)ケースを前に進めようとしているところでした。その真っ只中にAさんからこの連絡があったことに、驚きを覚えました。

私は水を一口飲み、深呼吸をして、Aさんにメールを打ち始めました。「個人移民申請に向けて頑張るとの意思表示をつい昨日Bさんから頂いたので、もしかして、と思い返事を書いています。失礼かもしれないけれど、単刀直入に聞きますね。Aさん、本当にBさんとの結婚することについて心の準備はできていますか?」 そしてこう続けました。「私は大昔、一度離婚しています。あなたのメールを読んで、同じ女性同士心を割ってお話したいと思い、思い切って聞きました。もしBさんと結婚しますと言った理由が、彼の個人移民申請の難しさと関係があるのであれば、よく考えて下さいね。あなたが優しい人だということは良く知っています。心配しないで。Bさんは私と昨日個人移民申請を頑張ると言ったばかりですから。」そしてこう締めくくりました。「もし私の憶測が違ったらごめんなさいね。その場合にはどうぞお二人で相談しに来て下さい」と。

すると1時間後にAさんから返信がありました。「率直なメールをどうもありがとうございます。あなたのメールを読んで、思わず泣いてしまいました。本当のことを話します。私は・・・彼のことは好きだけれど、結婚はまだまだ早いと思っています。でも彼が個人移民申請で苦闘しているのを側で見ていて、結婚し、彼の移民を助けてあげなければいけないのではないか、という気持ちになってしまったのです。」と書いてありました。(次号へ続く)